繊字元豊手(試案・DRAFT)


新規母銭からの鋳造

手類銭考掲載品ほか
 
 繊字元豊手は、静泉庵 冨永昌良先生が提案された手類銭で、穴銭入門 手類銭考 中巻には、
「銭型極小様にして極薄肉・広穿、面背共に細縁、細郭をなす。銭文繊細で、特有の書風を有する品を一般とする。「繊字至道手」の品と同書の物や、本炉銭と同書の品も、製作的共通性を観つつ当手とした。(中略) 銅色淡黄乃至淡黄褐色にして硬い金質の物が多い。(後略)」と解説されています。
 手類銭考では、基本的には新規母銭による品を当類に充てています。当手の書体の特徴としては、寶字が独特で三王宝であり、貝画にも特徴ある種類が多いことが挙げられます。また、殆どが北宋銭の面文を踏襲しています。
 開元手などと同様に、同炉で直写しされたと思われる銭が存在しており、異論は多いと思われますが、同手と愚考して本欄に掲載しました。
  
26a 26b  咸平元宝(手類銭考 No1)

 手類銭考の位付は十三になっており、実際、少数派です。
 なお、当欄の写真は全て25mm×25mmです。
19a 19b  咸平元宝

 手類銭考 No1掲載品の小様末鋳銭と思われます。円貝宝になります。
 小様銭の存在は多いです。
1a 1b  元豊通宝 繊字 篆書(手類銭考 No3)

 繊字元豊手の代表銭に相応しく、存在数は最も多く、美銭に恵まれています。
 面文はかなり手が加えられており、宝字は三王宝です。
 
 
2a 2b  元豊通宝 繊字 篆書 小様

 同書体の品が鋳写された小様末鋳銭です。
 
3a 3b  元豊通宝

 面文はかなり加刀されています。背は綺麗に改製されており、別手の可能性があります。 
4a 4b  元豊通宝

 濶縁で、覆輪されたものと思われます。当手の特徴から外れますが、書体の共通性から暫時掲載します。
5a 5b  元豊通宝 

 面文は三王宝となっているほか、加刀されています。背も改製されており、別手の可能性があります。
6a 6b  元豊通宝 極小様

 面文は三王宝となっています。上段に掲載した銭の末鋳銭の可能性があります。
25a 25b  元豊通宝 降豊 篆書(手類銭考 No4)

 宝字は三王宝となっています。存在数は、元祐通宝痩字細縁篆書と同程度と思われます。
9a 9b  元祐通宝 痩字広穿 真書(手類銭考 No7)

 元豊通宝繊字篆書と共に存在数は多く、美銭が多いです。
10a 10b   元祐通宝 痩字広穿 真書 小様

 上段掲載品を写した銭と想定されます。
11a 11b  元祐通宝 本銭手 真書 小様
 
 手類銭考No9の品が写された銭と推測します。背は改製されており、別手の可能性があります。 
12a 12b  元祐通宝 痩字 細縁 篆書(手類銭考 No10)

 手類銭考では位付十五ですが、存在数はこれよりやや少ないと思われます。三王宝です。
13a 13b  紹聖元宝 小字 篆書(手類銭考 No13)

 宝字は三王宝、円貝宝となります。
14a 14b  紹聖元宝 小字 篆書 小様

 上段掲載の品が写された末鋳銭と推測されます。
16a 16b  天聖元宝 薄肉 細縁 真書 

 手類銭考 No15に似ており、この銭は小ぶりで背濶縁、面文に小異があります。
15a  15b  天聖元宝 薄肉 細縁 篆書(手類銭考 No16)

 三王宝です。
17a 17b  皇宋通宝 篆書

 手類銭考に不載品ですが、宝字は三王宝です。背は改製されており、別手の可能性があります。 
18a 18b  皇宋通宝 篆書 小様

 上段掲載の品を写したと思われる末鋳銭です。この個体では背が改製されていませんが、改製された銭の方が多く存在します。

 

 
直写しの系統  
8a 8b  
 元豊通宝 篆書

 大字類写しと思われます。

     


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