木曽幹線

 鉄塔マニヤの新幹線乗車はとても楽しいものです。おびただしい未知の送電鉄塔が次から次へと現れ、飽きる事がありません。特に太平洋ベルト地帯を横断する東海道新幹線車窓からは、沢山の鉄塔を見ることが出来ます。首都圏の旧型鉄塔マニヤが東海道新幹線に乗車したとき、真っ先に注目する鉄塔は、この木曽幹線鉄塔でしょう。場所は名古屋-岐阜羽島間、猪苗代旧幹線や群馬幹線系統の鉄塔に一寸似た、塔頂部が三角になっていない如何にも古そうな送電鉄塔が新幹線の車窓を横切ります。私も新幹線に乗車の度、(一体いつ頃の建設だろうか?)と、大変気になってはいました。が、さすがに鉄塔探索の目的だけで、大枚をはたいて名古屋に行く気にはなれませんでした。
 しかしながら、転機は突然訪れるものです。「キミ、名古屋に1年間転勤だ!」という事となり,幸か不幸か、遂に私はこの鉄塔の基に立つ日が巡ってきたのです。
 新幹線で横切る例の送電線、どうやって行ったら良いかと調べてみたら、この箇所は送電線のほか名鉄本線も横切っていて、おまけに大里駅という駅まであって、訪問は至って簡単でした。

kisoA 夢にまで見た謎の古鉄塔、と言ったら大袈裟ですが、それはそれは感慨もひとしおでした。
 現地に行って判ったのは、この送電線路はこの地域を管轄する中部電力のものではなく、関西電力の系統という事でした。鉄塔のプレートには、果たして木曽幹線 大正12年12月の文字が!
 写真の鉄塔は、新幹線の場所から山側に向かって十キロ近く先の地点での撮影で、木曽幹線37号鉄塔です。年代的には猪苗代旧幹線(大3)や群馬幹線(大11)より若干新しく、やはり気のせいかこれらの鉄塔より頑健に見えました。
 蛇足ながら、この線の下を横切る配電線は、木曽幹線が低いせいかこの部分のみ地下化されていることが写真から判ります。
 この線もご多分に漏れず、各所で立て替えが行なわれています。長い間鉄塔マニヤを楽しませてくれた東海道新幹線を横切る鉄塔郡も、平成18年秋、遂に建替工事が始まりました。
 

        
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